日本生物資源産業利用協議会(CIBER)は、日本におけるバイオバンクにおける標準化を促進すると同時にの利活用を促進するための様々な活動を実施している。例えば、国際標準(ISO 20387やISBERベストプラクティスなど)の普及、バイオリポジトリ技術管理士認定試験の実施、バイオバンク横断検索システムの普及支援など、従来の日本の生物資源整備では設定されてこなかった機能を提供している。海外では基盤整備のための横断的な機能やベストプラクティスを共有する機能を担う組織が設置されているが、CIBERはこれらを日本において実現しており、日本型の組織・機能設計の弱点を補完していると捉えることができる。こうしたアプローチは、バイオバンク分野に限定されず生物資源整備において「一般的に発生している課題」への適応として捉えることで、生物資源インフラの利活用の促進を担う境界組織の在り方を考えていく。
また、従来は生物資源のインフラ整備においては、学官の連携が主として設定されてきたが、インフラの高度な利用方法をユーザーたる産業界が非競争的に共同開発することのメリットは大きく、ユーザーを組織化し共同でインフラ利用のためのインターフェイスを整備する方策についても検討する。
ワークショップでは、最初に、CIBER側からバイオバンクの境界組織としての支援機能や他の組織との補完性を海外のバイオバンクの支援組織であるISBERの機能を参照しながら説明して頂いた後、バイオバンク、ファンディングエージェンシー、ユーザーなどCIBERを巡るステークホルダー側からCIBERに期待される役割に関する意見や提言を受けた上で、生物資源整備における課題と残されたミッシングリンクへの対処法を議論する。
テーマ | プレゼンター | 所属 | |
17:30-17:40 | S-FAIR研究会とテーマ設定の趣旨 | 加納 信吾 | 東大新領域 メディカル情報生命専攻 教授 |
17:40-18:00 | CIBERのユーザー支援組織としての機能 | 池田 純子 | 日本生物資源産業利用協議会(CIBER) 代表理事 |
18:00-18:15 | ステークホルダービュー@: バイオバンクの立場から |
森崎 隆幸 | 東京大学医科学研究所 特任教授 バイオバンク・ジャパン |
18:15-18:30 | ステークホルダービューA: ファンディングエージェンシーの立場から |
田中 康博 | 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ゲノム・データ基盤事業部 ゲノム医療基盤研究開発課 |
18:30-18:45 | ステークホルダービューB: ユーザーの立場から |
寺内 淳 | 一般社団法人日本マイクロバイオームコンソーシアム(JMBC) 運営委員長 小野薬品工業株式会社 研究プロジェクト統括部プロジェクト評価課シニアマネージャー |
18:45-19:30 | 総合討論 |
事務局: sfair[at]bioip-lab.org
東京大学大学院 新領域創成科学研究科
メディカル情報生命専攻
医療イノベーションコース
バイオイノベーション政策分野内